訪米ーメルケル独首相とマクロン仏大統領ー歓迎の差
マクロン仏大統領が3日間だったのに対し、
メルケル独首相はたったの3時間。
これは、今回、両国のトップが訪米した際の滞在時間です。
マクロン大統領が儀式的なパレードありの国賓待遇だったのに対し、
メルケル首相の場合、会食は「ごく普通の」ランチでした。
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トランプ大統領はマクロン大統領との会談を心待ちにし、
男同士の友情のようなものを強烈にアピールしました。
その奇妙とも思える振る舞いは、
フランス国民にはどう映ったのでしょう。
しかし、その計算ずくめと思われる愛想振舞いに
マクロン大統領は丸め込まれてはいませんでした。
彼の冷静、かつ説得力のある演説からは、
「今、70年続いた平和が壊される危機にある」
と「アメリカ ファースト」を批判し、
「地球に替わる惑星Bはないのです!」
と「米パリ協定復帰」を促し、民主党からは盛大な拍手を得ました。
そして、その数日後、
今度は、メルケル首相がトランプ大統領と会談。
昨年、メルケルは記者団の前で
トランプに握手を拒否されるという一幕もありましたが、
会談も冷え切ったまま、後味の悪いものとなりました。
その苦い記憶の中、
さぞ、気が重いだろうと察しましたが、
出迎えは非常に好意的で、
メルケル首相の普段重い口角も上向きでした。
しかし、今回の最大の会談目的
「鉄鋼・アルミニウム関税の適応除外」の打診に対して、
「ドイツは国防費をGNP比2%まで引き上げろ」
と駆け引きを求められ、
「対アメリカ貿易黒字を減らせ」と言ってきました。
結局、イランの核合意破棄の件に関しても、
メルケルはなんの手土産もないまま、帰国の途に立ち、
すべてはトランプ大統領の決断待ちとなりました。
どうもウマが合わないメルケルとトランプ。
メルケルはトランプの好みではなさそうですが、
気に入らないのは、ドイツの強い経済力の方でしょう。
まだ非公開のEUの対米関税対策案がどんなものか気になりますが、
今後、貿易戦争につながらないことを祈るばかりです。